◆概要
2012年12月、大阪大学と京都大学の共同研究として、ラミニン511-E8断片がES/iPS細胞の培養用基質として有効であることがNature communicationsに掲載されました。ラミニンとは動物の基底膜に存在する細胞外マトリックス成分の一つです。基底膜とは動物の上皮組織とその下の間質組織の間に存在する薄い膜状の構造体です。ラミニンは基底膜成分としてコラーゲンと同様に細胞の接着に関与して、細胞の生存、活性維持に重要な役割を果たしています。
今回の発見はラミニン511-E8が通常の細胞の生存増殖のみならず、ES/iPS細胞の増殖にも有効であることを示しています。従来ES/iPS細胞培養には動物由来成分もしくは細胞が必要と考えられていましたが、今回発表された方法によって、ES/iPS細胞の培養効率、安全性を飛躍的に高めることを可能にしました。関連記事は日経新聞、日経ビジネスに掲載されています。このラミニン511-E8断片を使用したES/iPS細胞の培養技術は、大阪大学と京都大学によって特許出願されています。
当社は長年基底膜について大阪大学と共同研究を行ってきました。このような背景からラミニン511-E8を製造、販売する独占契約を両大学と締結し、その安定製造法、安全性の確保についての各種開発研究を行ってきました。その結果両大学との共同研究のもと、活性を持ったラミニン511-E8断片を高品質に製造する工程を確立し、一部研究者に提供して評価して頂いております。本年7月より一般販売を予定しており、再生医療の基盤技術の一つとして世界に発信してまいります。
◆商品名
iMatrix-511 (アイマトリックス511)
◆関連文献
実験医学2013年4月号(Vol.31 No.6,918-922)
「ラミニンE8を用いた安全で効率的なヒト多能性幹細胞培養法の開発」
川瀬栄八郎、宮崎隆道、関口清俊
◆関連報道(2013年6月19日現在)
2013年1月 8日(火) 日本経済新聞(夕刊)
2013年1月16日(水) 日経産業新聞
2013年2月25日(月) 日経ビジネス 「特集 動き出すiPS」
◆補足情報
本件に関連した情報を研究レポートに記載しております
レポートNo.002 「iMatrix-511」の誕生について
一覧へ戻る