研究レポート

レポートNo.005 「食べるコラーゲン」の効果を検証する
レポートNo . 「食べるコラーゲン」の効果を検証する
005

概要

 「コラーゲンペプチドの摂取が健康状態にどのような効果を及ぼすか」を明らかにするには、臨床試験(ヒト試験)を実施する必要があります。本レポートでは、ニッピが発表したヒト試験の中から、3つの試験結果をご紹介します。 
  ①肌改善に関するヒト試験
  ②肌紫外線障害の軽減に関するヒト試験
  ③免疫機能の賦活化に関するヒト試験 ※1
 なお、これらの成果は何れも査読付き論文として発表されています。

※1:コラーゲンペプチドの摂取が免疫機能に有益である事を示した初めてのヒト試験です。

①肌状態の改善作用

 コラーゲンペプチドの摂取に対して、多くの女性が期待している効果は美肌作用だと思われます。肌は、加齢に伴ってシワが増加し、表面の滑らかさも失われますが、このような加齢による変化がコラーゲンペプチドの摂取で抑制されれば美肌作用を裏付けることができます。
 そこで、コラーゲンペプチド摂取の肌への効果を明らかにする目的で、35〜65歳の日本人女性(50歳以上と未満の人数を半々とした)を対象としたプラセボ対照二重盲検群間比較試験を実施しました(参考文献1)。
 この試験では、5gのコラーゲンペプチドを含まない食品(プラセボといいます。今回はデキストリン)またはコラーゲンペプチド(ニッピ製造)を、1日1回毎日夕食後に水またはお湯に溶かして8週間摂取してもらいました。摂取前(0週)と摂取4週および8週後にVISIAなどの皮膚評価機器で肌状態を評価しました。VISIAは、摂取前と摂取後の顔写真を同じ条件で撮影した後に画像処理することで、シワ、色むら/凹凸、赤みの数、毛穴、シミを再現性よく評価できます。摂取4週と8週時点では、肌状態の体感性に関するアンケート調査も実施し、被験者は、「肌の状態は試験前と比べてどうですか?」という質問に対して「1:悪くなった」「2:変わらない」「3:良くなった」で回答しました。ニッピは、2009年のヒト試験で、このアンケートが肌状態を評価する有用な手段であることを確認しています(参考文献2)。
 試験開始前に全被験者のシワ個数をVISIAで測定したところ、年齢とともにシワ個数が増加していることが確認されました(図1)。図2に、肌の画像と、VISIAが判定したシワを緑色の線で表した画像の一例を示します。シワ個数の減少は、プラセボ群よりもコラーゲンペプチド群で顕著であり、摂取8週ではその差が統計学的に有意でした(サブグループ解析:年齢<60歳;図3)。
 摂取8週でのコラーゲンペプチド群のシワ個数の減少は、図1の回帰式から3.7歳の若返り効果に相当すると計算されました。肌表面の色むら/凹凸の個数の減少についても、摂取8週時点でコラーゲンペプチド群がプラセボ群より有意に顕著であり(サブグループ解析:乾燥肌;図4)、さらに、ニキビ跡や炎症の指標となる赤い部分の個数の減少も、8週時点でコラーゲンペプチド群がプラセボ群よりも有意に顕著な傾向を示しました(サブグループ解析:乾燥肌;図5)。摂取前後の肌状態を比較した体感性のアンケート調査では、摂取8週時点で、コラーゲンペプチド群はプラセボ群と比較して有意に改善していました。この体感性の改善は50歳未満の被験者でより顕著でした(図6)。 
 これらの結果は、コラーゲンペプチドの摂取により顔のシワ、色むら/凹凸、赤みといった肌性状が改善し、肌がより均一で綺麗に見えること、さらに、この変化には「肌状態が良くなった」と言う体感性を伴うことを示しています。これらの結果は、消費者がコラーゲンペプチド摂取の効果として期待している美肌作用を裏付けるものでした。肌状態の改善に関する体感性が高いことは、コラーゲンペプチド摂取の大きな特長であり、これがコラーゲンペプチド市場の拡大を支えている要因のひとつだと考えられます。 



図1. 加齢によるシワ個数の増加
摂取前のデータは、加齢に伴ってシワ個数が増加することを示しており、回帰直線はy=0.561x-13.049、寄与率はR²=0.227でした。 



図2. コラーゲンペプチド群におけるシワの変化
コラーゲンペプチドを摂取した被験者でのシワの変化の一例を示します。右が元画像で、左の緑色の線がVISIAによって同定されたシワを示します。摂取前(0週)と比較して、摂取4週、摂取8週ではシワが目立たなくなっています。 


図3. シワ個数の変化
シワ個数の変化を示します。摂取4週のコラーゲンペプチド群はプラセボ群と比較して、シワ個数が減少しており、摂取8週ではその差は有意でした。この差は、図1の回帰直線から計算すると、3.7歳の若返り効果に相当しました。年齢が35~59歳の被験者でのサブグループ解析。nは被験者数。Mean ± SD。*; P < 0.05。 


図4. 色むら/凹凸の個数の変化 
色むら/凹凸の個数の変化を示します。摂取4週のコラーゲンペプチド群はプラセボ群と比較して、色むらと凹凸個数が減少しており、摂取8週ではその差が有意でした。乾燥肌の被験者でのサブグループ解析。nは被験者数。Mean ± SD。*; P < 0.05。 

 
図5. 赤い部分の個数の変化
赤い部分の個数の変化を示します。摂取8週のコラーゲンペプチド群は、プラセボ群と比較して、有意差傾向をもって減少しました。乾燥肌の被験者でのサブグループ解析。nは被験者数。Mean ± SD。#; P < 0.1。 


 
図6. 肌状態の体感性
摂取4週と8週時点で、「肌の状態は試験の前と比べてどうですか?」というアンケート調査を行い、「悪くなった」を1、「変わらない」を2、「良くなった」を3として統計解析しました。50歳未満でのサブグループ解析。nは被験者数。***P < 0.001。
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②肌紫外線障害の軽減作用

 肌の老化には、年月が経過することによる内因性老化と、紫外線を浴びることによる外因性老化(光老化)があります。光老化は、常に太陽光線を浴びている顔の肌に深刻な影響を及ぼします。ニッピでは2009年に、紫外線の連続反復照射による皮膚障害が、コラーゲンペプチドの摂取によって軽減されることを動物実験で確認しました(参考文献3)。そこで、同様の効果がヒトでも期待できるかを明らかにするため、ランダム化プラセボ対照二重盲検群間比較試験を実施しました。この試験では、20〜59歳の日本人男性(スキンフォトタイプIIまたはIII)を対象として、背皮膚への紫外線単回照射による急性障害が、1日5gのコラーゲンペプチド摂取によって抑制されるかを検証しました(参考文献4)。スキンフォトタイプIIは「紫外線により、容易に赤くなり、その後わずかに黒くなる」、スキンフォトタイプIIIは「紫外線により、赤くなり、その後黒くなる」性質の肌であり、紫外線に比較的感受性が高い肌です(参考文献5)。上記の動物実験では紫外線を連続反復照射しましたが、ヒトで連続反復照射を行うと照射部位が顕著に黒化するため、倫理的な理由から単回照射試験としました。この試験では、まず、プラセボ(デキストリン)またはコラーゲンペプチドを摂取する前に紫外線を背皮膚に単回照射し(摂取前の照射)、a*値(赤み、紅斑の指標)を照射前と照射15日目まで測定しました。その後プラセボまたはコラーゲンペプチドを4週間摂取してもらい、再び紫外線を背皮膚に単回照射しました(摂取4週時点での照射)。そして、その摂取を継続しながら、a*値を照射前と照射15日目まで測定し、コラーゲンペプチドの作用をプラセボと比較しました(図7)。 
 その結果、摂取前の紫外線照射後のa*値に、プラセボ群とコラーゲンペプチド群での有意差はありませんでした(データ省略)。しかし、摂取4週時点の紫外線照射4日目のa*値は、プラセボ群よりコラーゲンペプチド群で有意に低値でした(サブグループ解析:年齢>30歳;図8)。a*値(紅斑の指標)は、紫外線照射による皮膚障害に伴う血流量の増加(炎症反応)を反映していることから、この試験結果は、コラーゲンペプチドの摂取によって、紫外線照射による肌の急性障害が抑制されることを示しており、長期間の紫外線暴露による光老化を軽減できる可能性が示唆されました。 

 

図7. 紫外線障害抑制試験のスケジュール
摂取前に背皮膚に紫外線(UV)を単回照射しました(1日目)。a*値(赤み、紅斑の指標)を、1日目(照射前)、4日目、8日目、15日目に測定しました。その後4週間、プラセボまたはコラーゲンペプチドを摂取してから、背皮膚(摂取前の照射時とは別の部位)に紫外線を単回照射しました(摂取4週時点での照射)。その摂取を継続しながら、同様にa*値を測定しました。統計解析は摂取前および摂取後の群間で行いました。 
 
図8. コラーゲンペプチド摂取による紅斑の抑制
摂取前の紫外線照射後のa*値に群間有意差はありませんでした(データ省略)。しかし、摂取4週時点の紫外線照射4日目(継続摂取中)のa*値は、プラセボ群よりコラーゲンペプチド群で有意に低値でした。年齢30~59歳のサブグループ解析。nは被験者数。Mean ± SEM。*; P < 0.05。 
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③免疫への作用

 私達の身体は、神経系、内分泌系、そして免疫系の働きによって一定の健康な状態に維持されており、これを恒常性(ホメオスタシス)といいます。免疫系は、ストレス、低栄養、加齢によって機能が低下することが知られています。感染症は多くの高齢者の主要な死亡原因になっていますが、これは高齢者では免疫機能が低下し、免疫不全状態にあることを反映しています。また、免疫機能の低下には、大きな個人差があることが知られています(参考文献6)。コラーゲンペプチドは長い食体験を有する安全な食品ですので、その摂取によって低下した免疫機能を賦活することができれば、高齢者のQOL(Quality of Life)を改善し、また、強いストレスで免疫機能が低下している人のホメオスタシスを改善することにも役立つと思われます。 
 そこで、日頃から疲れやすいと感じている30歳代から50歳代の日本人男女を対象として、1日10gのプラセボ(デキストリン)またはコラーゲンペプチドを8週間摂取し、免疫機能を評価するランダム化プラセボ対照二重盲検群間比較試験を実施しました(参考文献7)。免疫機能の評価は廣川らの方法 ※2(参考文献6)に従いました。まず、末梢血の免疫細胞数(T細胞、CD4+ T細胞、CD8+ T細胞、ナイーブT細胞、メモリーT細胞、CD8+CD28+ T細胞、B細胞、NK細胞)を測定します(表1)。さらに、7項目(T細胞数、CD4+/CD8+ T細胞数比、ナイーブT細胞数、ナイーブ/メモリーT細胞数比、CD8+CD28+ T細胞数、B細胞数、NK細胞数)の数値を健常人のデータベースと照合することによってスコア化します(1:低い、2:中程度、3:高い)。それらを合計した数値が「免疫力スコア(Scoring of Immunological Vigor: SIV)」で、個人の免疫機能の総合的な指標になります(図9)。「免疫力グレード」は、免疫力スコアを健常人のデータベースと照合して、I:危険圏、II:要注意圏、III:要観察圏、IV:安全圏、V:充分高い ※3と区分化したものです(図9)。また、CD8+CD28+ T細胞数は加齢に伴って減少することが知られており、被験者のCD8+CD28+ T細胞数を健常人のデータベースと照合することで、Tリンパ球年齢が算出されます(図10)。体調の自覚症状については、リッカートスケール法によるアンケートを実施しました。

※2:2015年4月現在、国内の50以上の医療機関で免疫機能の評価に利用されています。
※3:免疫力スコアが9以下のグレードI(危険圏)の場合は、なにかしらの疾患を有する可能性が考えられるため、被験者は免疫力グレードII(要注意圏)またはIII(要観察圏)の方としました。

 摂取前と8週間の摂取後を比較した群内変動をみると、プラセボ群では3個の測定項目(CD8+ T細胞数、ナイーブ/メモリーT細胞比、B細胞)で有意な変動が観察され、季節変動、プラセボ効果、プラセボとして使用したデキストリンの作用などが影響した可能性が考えられました。
 一方、コラーゲンペプチド群ではこれらの3測定項目以外に、免疫力スコア、T細胞数、メモリーT細胞数、CD8+CD28+ T細胞数、NK細胞数が有意に増加し、Tリンパ球年齢とCD4+/CD8+ T細胞数比が有意に低下しました(表2)。さらに、プラセボ群とコラーゲンペプチド群の群間有意差を解析したところ、免疫力スコアがプラセボ群(15.6±1.8)と比較してコラーゲンペプチド群(16.2±1.6)で有意(P = 0.030)に上昇しており、コラーゲンペプチドの摂取によって免疫機能が改善したことが示されました(表3)。
 免疫力グレードについては、摂取前と摂取後ともに、2群間に有意差はありませんでしたが、8週間の摂取後には、プラセボ群と比較してコラーゲンペプチド群で要注意圏が減少し、安全圏が増加していました(図11)。自覚症状については、「下痢気味である」と「食欲がない」の改善がコラーゲンペプチド群でのみ観察されました。これらの結果は、日頃から疲れやすいと感じており、免疫機能が低下している時にコラーゲンペプチドを摂取すると免疫力が賦活化され、自覚症状も改善することを示しています。
 
図9. 免疫機能の評価方法(1)
免疫力スコアと免疫力グレードによる評価方法を示します。
【免疫力スコア】7項目(着色セル)の数値を健常人のデータベースと照合してスコア化(1:低い、2:中程度、3:高い)し、合算します。
【免疫力グレード】免疫力スコアの値を健常人のデータベースと照合して、I:危険圏、II:要注意圏、III:要観察圏、IV:安全圏、V:充分高い、の5段階に区分します。
いずれも、個人の総合的な免疫状態の指標となります。 

 
図10. 免疫機能の評価方法(2)
Tリンパ球年齢は、年齢とともに減少するCD8+CD28+ T細胞数を健常人のデータベースと照合して、実年齢とは別に、T細胞が何歳に相当するかを算出した指標です。 


 
図11. 免疫力グレードの変化
摂取前と摂取後ともに免疫力グレードに群間有意差はありませんでしたが、摂取後はプラセボ群と比較して、コラーゲンペプチド群では要注意圏が減少し、安全圏が増加しました。 

表1. 免疫学的パラメーター
免疫機能の評価に使用したパラメーターについて説明します。


表2.免疫学的パラメーターの群内変動
コラーゲンペプチド群における摂取前と摂取後の変化を統計解析した結果を示します。プラセボ群でも有意に変化した3測定項目(CD8+ T細胞、ナイーブ/メモリーT細胞比、B細胞)以外に、コラーゲンペプチド群でのみ有意に変動した測定項目を着色セルで示します。n=25/群。Mean ± SD。



表3. 免疫学的パラメーターの群間比較
プラセボ群とコラーゲンペプチド群の間の有意差検定の結果を示します。免疫力スコアがコラーゲンペプチド群で有意に改善しました。n=25/群。Mean ± SD。
 


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総括

 このように、私達が実施したヒト試験から、コラーゲンペプチドの継続摂取によって身体機能が改善することが確認されています。特に、免疫機能の改善はこれまで報告されていなかった作用です。ニッピは今後もコラーゲンペプチドの機能性に関して研究を続けることで、人々の健康増進に貢献したいと考えています。 

関連レポート

文献1 桑葉くみ子、小山洋一、小池田崇史、塚田幸宏:コラーゲンペプチド摂取による肌の改善効果 –プラセボ対照二重盲検群間比較試験--。 薬理と治療、42, 995-1004 (2014)
文献2 小山洋一:コラーゲンの肌への作用•最新研究。食品と開発、44, 10-12 (2009)
文献3 Tanaka M, Koyama Y, Nomura Y. Effects of collagen peptide ingestion on UVB-induced skin damage. Biosci Biotechnol Biochem 73, 930-932 (2009)
文献4 Koyama Y, Kuwaba K, Kondo S, Tsukada Y. Supplemental ingestion of collagen peptide suppresses ultraviolet-induced erythema –A randomized double-blind placebo-controlled study- Jpn Pharmacol Ther 42, 781-790 (2014)
文献5 廣川勝昱、宇津山正典:免疫機能の評価判定とその回復について。
Biotherapy 23, 1-12 (2009)
文献6 Koyama Y, Kuwaba K, Kusubata M, Hayashida O, Takara T, Tsukada Y. Supplemental ingestion of collagen peptide improves T-cell-related human immune status --Placebo-controlled double-blind study-- Jpn Pharmacol Ther 43, 51-56 (2015)

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