ゼラチンの取り扱い

ゼラチンの白濁について

酸処理ゼラチン(Aタイプ)とアルカリ処理ゼラチン(Bタイプ)を混合して使用する場合は注意が必要です。等電点の異なるゼラチンを混合すると、溶液にしたときに両者間でコアセルベーションが起こり、溶液は白濁します。白濁程度は、両者の混合割合によって変わり、酸処理ゼラチンの混合率が5%の時が最も濁りが強くなります。
また両ゼラチンの等電点の差が大きくなるほど、濁りも大きくなります。
酸処理ゼラチンは通常使用のpH 域でプラス荷電を帯びているため、一般的にマイナス荷電を持つ多糖類と併用すると白濁を起こす場合があります。また、タンニンなどのポリフェノールを含む紅茶などの物質でゼリーを作る場合も、白濁を起こし、商品価値を著しく落とします。
これらの場合、中性のpH 域でマイナスに荷電しているアルカリ処理ゼラチンを用いると、白濁しないゲルを得ることができます。
コラーゲンペプチドでも同様の現象が生じるので、注意が必要です。
下記写真は、紅茶ゼリーを作ったときの使用したゼラチンによる違いです。

ゼラチンの使用時に注意していただきたいこと

ゼラチンは天然のタンパク質のため、パイナップル、パパイヤ、キウイ、イチジクなど、タンパク質分解酵素を含んだ果物と一緒に使用すると、分解されてしまい、ゲル化しなくなります。これらの果物と一緒に使用する場合は、あらかじめ果物を加熱して酵素を失活させておく必要があります。
また、ゼラチン溶液は、保存中に大気中などからまぎれ込むバクテリアによって腐敗、分解などを起こすこともあります。ゼラチン溶液中の一般生菌の生育は35~38℃が最適であり、55~60℃で抑制されます。また、溶液のpH は中性域で最適であり、4.0~4.5以下で抑制されます。
ゼラチン溶液を冷却してゲル化させ、冷蔵する場合にも注意が必要です。溶液のときよりは長持ちしますが、やはりバクテリアの影響などが現われるので、保存限度は5~7日です。なお、ゲルを冷凍すると、数年間は安定に保存できます。

保管条件

ゼラチン乾燥製品は、密封した状態で、直射日光や高温多湿を避けた環境下で保存すれば、品質に変化は生じません。しかし、商業習慣上、賞味期限は製造後3年と定めています。

ゼラチンの膨潤、溶解方法

ゼラチンを溶解して水溶液を得るには、通常はゼラチンに冷水を加えて室温で十分に静置し、膨潤させてから50~60℃に加温して溶解します。この際、撹拌すると溶解時間を短くすることができます。
なお、溶解時間は、ゼラチン粒子の細かい方、溶解温度の高い方が早くなります。ゼラチンを膨潤しないで溶解するには、温水を攪拌しながら添加する方法もあります。

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