コラーゲンがちゃんとできないため骨がバキバキに折れてしまう骨がもろくなる病気とか、関節が異常に曲がる病気とかもあります。また、肌の皮膚が異常に伸びる病気もあります。他の組織も遺伝的な変異やコラーゲンの劣化によって、血管が弱かったり、心臓にダメージがあったり、そういうことで病気になるということがありまして、当然コラーゲンがちゃんとしてないと病気になります。
そのような皮膚に出る症状は「Ehlers-Danlos syndrome(エーラス・ダンロス症候群)」といい、これにはいろんなタイプがあります。コラーゲンそのものがダメだったり、コラーゲンを作る酵素がダメだったり、コラーゲンをちゃんと丈夫にするためのちょっとした最後の一工夫がうまくいかなかったりとか。
また、骨が弱くなる「Osteogenesis Imperfecta(骨形成不全症)」という病気があります。これもやはりコラーゲンがうまくつくれないために起こります。
それから、逆にコラーゲンを異常にたくさんつくってしまうような病気で「線維症」があります。「肺線維症」、「肝臓の線維症」、「強皮症」などの病気がそれにあたります。これはコラーゲンが多いため、強皮症とか膠原病とか、そういう名前が付けられていますが、コラーゲンが悪者というよりも、たぶん正常に働ける細胞がダメになって、そこにしょうがないからコラーゲンが増えてきて、結果的にコラーゲンがいっぱいになってしまった症状が見られるので線維症と呼んでいるのであって、コラーゲンは仕方なくその隙間を埋めているような気もします。この辺についての治療法としてどのように考えているかは、いろんな人がいるでしょう。コラーゲンを減らせば治るかどうか、そこも微妙で、減らした上でちゃんとした肝臓なら肝臓の細胞、腎臓なら腎臓の細胞を増やすことが大事ではないかなとは思います。
関節のコラーゲンを壊しちゃうという病気もあって、これはリウマチといいます。関節の表面のツルツルしている所はコラーゲンでして、骨の硬い所とは別のタイプのⅡ型というコラーゲンでできています。これで関節同士がこすれずにスムーズに動くのですが、これが壊れてしまって関節の炎症が激しくて痛いとか、癒着しちゃったりするのがリウマチです。
癌の転移にも関係しています。それから腎臓、尿を作るところですが、ここではⅣ型のコラーゲンというのが非常に細かい網目状となって、そこが血液をろ過する構造を作っているんですけど、このろ過する構造がダメになる腎臓の病気「Alport syndrome(アルポート症候群)」とか、いろんな病気があります。
また、皮膚にもコラーゲンがたくさんあります。表皮と真皮、またその間にも基底膜という構造がありますけれども、その表皮と真皮を繋ぎとめているコラーゲンというのもあります。皮膚は厚い真皮の上に薄い表皮が基底膜構造を介して張り合わされた器官です。そこを繋ぎ合わせているいろんな構造の中にはボタンみたいに止めているところもあって、そこではⅦ型のコラーゲンというのが働いています。これがダメになると酷い水疱症という水ぶくれだらけで大変な病気になるなど、その他いろんな病気に関係します。