ものづくり

創業以来変わらない「ものづくり」へのこだわり

副産物のアップサイクル

副産物に新たな価値を与えるものづくり

ニッピでは、食肉産業の“副産物”である皮を鞣(なめ)して「革」を、食肉産業や皮革産業の“副産物”である骨や床皮(*1)を素材に「ゼラチン」や「コラーゲン」を製造しています。
ゼラチンやコラーゲンは、食品や健康、医療、美容分野などさまざまな分野で利用されており、まさに「副産物に新たな価値を与える」ものづくりを進めています。

(*1) 床皮(とこがわ):動物から剥(は)いだ皮から、表皮の付いた一番上の面を取り除いた、残りの下層部分の皮のこと

副産物に新たな価値を与えるものづくり イメージ画像

副産物の有効利用と廃棄物の削減

コラーゲン事業部では、牛の皮革利用の“副産物”として発生する床皮を原材料にして、タンパク質であるコラーゲンを抽出・精製し、コラーゲンケーシングを製造しています。ケーシングとは、ソーセージの肉を詰める袋のことで、従来は主に羊・豚・牛など家畜の小腸が使用されてきました。ニッピが開発に成功したコラーゲンケーシングは、より衛生的であり、厳密にサイズ管理できることから、均一な製品を大量に生産することができます。
コラーゲンケーシングの製造工程では、厳しい品質管理を行っており、製品基準に満たなかったものの一部はドッグフードに転用しています。本来なら廃棄されてしまう床皮などの“副産物”を有効利用するとともに、製造工程の継続的な見直しなどにより、製造過程で生じる廃棄物の削減にも取り組んでいます。

健康に寄与する付加価値の創造

コラーゲンのスペシャリストとして豊かな世界の実現に貢献

コラーゲンペプチド 写真

ゼラチン事業部では、ゼラチンとコラーゲンペプチドの製造・販売を行っています。
ゼラチンは、写真用ゼラチンの研究開発に始まり、現在は加工食品や製菓、医薬品など幅広い用途で活用されています。コラーゲンペプチドは、コラーゲンを低分子化することで体内に吸収されやすい特徴があり、近年その機能性に関する研究が進んでいます。また易溶解性による扱いやすさから、健康や美容などをはじめとするさまざまな分野で幅広く利用されており、今まで以上に人々の健康に寄与することが期待されています。
ニッピでは長年培った製造技術や特許製法を駆使した高付加価値品や、多くの国や地域に安心・安全な食品を提供するためにHalal(ハラール)やKosher(コーシャ)の認証を取得した製品を製造・販売しています。
ニッピは、ゼラチンやコラーゲンペプチドの研究成果や最新情報をホームページや展示会などを通じて積極的に発信し、顧客のニーズに応えることで社会に貢献しています。

市場ニーズを反映した商品開発

バイオ・ケミカル事業部が目指す製品開発


医療用コラーゲン「NMPコラーゲンPS」

バイオ・ケミカル事業部では、将来を見据えた製品開発を目標とし、バイオマトリックス研究所の研究成果も利用しつつ、積極的に社会に貢献する製品づくりに取り組んでいます。

医療分野で人々の健康に貢献

バイオ製品部門では、アップサイクル原材料であるゼラチンやコラーゲンを医療分野で使用するための原材料製造を行っています。
具体的には、生体内での使用を目的に低エンドトキシン化(*1)やウイルス不活化(*2)の処理を行い、人の体内に入れても問題がないゼラチンやコラーゲンを製造しています。今後ますますの発展が期待されている、医療の研究・応用分野などで利用される製品づくりに取り組んでいます。
さらに、これらのゼラチンやコラーゲンの開発技術を応用し、ES/iPS細胞を培養するための足場となるタンパク質基材、がんをはじめとする疾患の研究となる創薬スクリーニング用の3次元培養基材、医療機器などの開発も進めており、これから需要の高まる医療分野で人々の健康に寄与する「ものづくり」に取り組んでいます。

環境負荷物質の低減を目指した「ものづくり」


化学架橋PVCコンパウンドと製品例

ケミカル製品部門では、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)を中心とした製品展開を行っています。
PVCは、塩からつくられる塩素が60%、石油からつくられるエチレンが40%という組成から成り、ほかのプラスチックよりも石油を使う量が少なく、省資源化に貢献しています。
また、マテリアルリサイクル(再生利用)に有効な物質として、重金属フリー化や、有害物質を非含有とするRoHS2.0(*3)へも対応しています。近年ますます規制が厳しくなる環境問題に対応するため、製品への環境負荷物質の低減に積極的に取り組んでいます。

  1. (*1) 低エンドトキシン化:体に発熱をはじめ種々の生体反応を引き起こす物質を減らす工程
  2. (*2) ウイルス不活化:微生物などの病原体を. 熱、紫外線、薬剤などで死滅させる工程
  3. (*3) RoHS2.0:有害物質の使用を制限し、人の健康と環境の保護に貢献することを目的に制定された指令